アメリカ向け越境ECで売上が大きい日本の商品

by STAFF GO RIDE

国内でEC(電子商取引)を運営している事業者様の中には、アメリカなど海外への展開によってさらなる利益を獲得したいと考えている方も多いでしょう。

単純に考えると、製品を購入してくれる消費者の母数が大幅に増加するため、莫大な利益を獲得できる可能性があります。

しかし、海外展開、つまり越境ECにかかる準備や販売できる製品の種類が制限されていることを踏まえると、そう簡単にスタートできるものではありません。

とはいえ、ルールを把握し、どのような製品であれば海外でのニーズがあるのかを理解していれば、大きなビジネスチャンスになることは間違いないでしょう。

本記事では、アメリカ向けの越境ECにおいて送付しやすい製品、輸入に際して許可が必要だったり禁止されていたりする製品、そして必ず覚えておきたいFDAとADAについて紹介します。

越境ECとは

まずは、越境ECという取引形態について解説します。

併せて、越境ECによってもたらされる可能性があるメリットについても見ていきましょう。

日本から海外に商品を販売するEC

国境を越えてECを行うことを、越境ECと呼びます。

国内では飽和状態であったり、ECとして販売するにはニーズが少なかったりする製品であっても、海外では高需要かつ低供給の状態にある可能性があります。

そのため、適格に狙いを定められれば大きな利益を獲得できるポテンシャルがある取引形態です。

参考までに、2023年に経済産業省によってリリースされた「令和4年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」における、日本のBtoC-EC市場規模を確認してみます。

物販系分野の市場規模は前年比5.37%増で13兆9,997億円、サービス系分野は前年比32.43%の大幅増で6兆1,477億円、デジタル系分野は前年比6.10%減で2兆5,974億円、合計すると前年比2兆499億円の増加という結果です。

全体として見ると、日本におけるEC市場規模は拡大し続けているといえます。



なお、越境ECを運営するためにはさまざまな準備が必要です。

まず、輸出できる商品かどうか、その際にかかる関税や輸送費など費用はいくらかなどを確認し、問題ない商品の中から選定しなければなりません。

そのうえで、ターゲット層も絞り込みます。また、輸出先となる国の法規制や商習慣を確実に把握しておく、決済手段を多様にしておく、英語のみならず複数の言語に対応できる環境を構築しておくことも必須です。

このような準備を完了してはじめて、越境ECのスタートラインに立つことが可能となります。


参考:令和4年度 電子商取引に関する市場調査

越境ECを運営するメリット

越境ECによって想定されるメリットはいくつかありますが、何よりも、海外の潜在顧客を獲得できる可能性がある点は最大のメリットでしょう。

日本と比べてアメリカの人口は約3倍程度であり、顧客のニーズも日本とは異なります。

日本ではあまり需要のない商品が海外では大ヒットする可能性を含んでおり、母数も多いとなれば、大きな利益獲得のチャンスです。

そこからビジネスを拡大できる可能性もあるため、海外で需要の高い商品であれば積極的に越境EC化に踏み込んでみるとよいかもしれません。

また、越境ECには簡単ではない準備が必要であると先に述べましたが、必ずしも海外に物理拠点を構えなくてもよい、という点はもう一つのメリットといえます。

必要な準備さえ整えば、インターネットを介して取引が可能なため、実際に店舗を構えて売買を行うよりもはるかに低リスクで運営できます。

越境ECで日本から送付しやすい商材

次に、農林水産省が取りまとめた「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略案(概要)」に基づき、海外で評価の高い27種類の「輸出重点品目」を見ていきます。輸出重点品目に選定されているのは以下の通りです。


・牛肉

・豚肉、鶏肉・鶏卵

・牛乳、乳製品・果樹(りんご、ぶどう、もも、かんきつ)、野菜(いちご)

・野菜(かんしょ等)

・切り花

・茶

・コメ、パックご飯、米粉及び米粉製品

・製材

・合板

・ぶり

・たい

・ホタテ貝

・真珠

・清涼飲料水

・菓子

・ソース混合調味料

・味噌、醤油

・清酒(日本酒)

・ウイスキー

・本格焼酎、泡盛


このうち、「日本酒」「茶」「菓子」について見ていきます。


参考:農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略案(概要)

日本酒(清酒)

「SAKE」とも呼ばれることでお馴染みの日本酒は、日本食に合う酒類として海外で広く親しまれています。

国税庁が公開している「最近の日本産酒類の輸出動向について」という資料にもあるように、2014年には115億700万円という輸出金額でしたが、どんどん売上を伸ばし、2022年には474億8,900万円までその売上を拡大させました。

なお、2023年においては、アメリカにおける物価高・在庫調整といった要因が重なり日本酒の輸出金額は減少していますが、海外における日本酒人気は高いといえます。


参考:最近の日本産酒類の輸出動向について


日本酒を取り扱う、または取り扱いたい事業者様の場合、海外で高いニーズを誇る本品は越境ECにうってつけといえますが、輸出に際してはいくつか注意が必要です。

まず、日本酒を輸出する場合、「酒造メーカーが自社製造した日本酒を輸出する」「酒類卸売業免許を有した酒販会社などが輸出する」ケースを除き、「輸出酒類卸売業免許」を取得しなければなりません。

詳細については、以下、国税庁が公開している「酒類卸売業免許申請の手引」をご参照ください。


参考:酒 類 卸 売 業 免 許 申 請 の 手 引


また、日本酒を輸出する際のポイントとして、以下の3点を押さえておきましょう。


・現地のビジネスパートナーを見つけ、輸出に関しての諸条件を決定すること

・フォワーダーと呼ばれる、自らは輸送手段を持たない貨物輸送事業者に手続きを依頼すること

・アルコール度数24%超かつ250ℓ、または度数70%超の酒類輸出に際しては危険物扱い(国際輸送法上、引火性液体となるため)として手続きが複雑になること
国税庁より、アメリカを含む各国への「日本酒輸出ハンドブック」も公開されているため、併せてご覧ください。

参考:日本酒輸出ハンドブック|国税庁


なお、アメリカに日本酒を輸出する場合、以下のようなアメリカ独特のアルコール流通規定が存在するため、あらかじめ把握しておきましょう。


・3ティアシステム

・コントロールステートvsオープンステート(またはライセンスステート)

・州を超えて酒類を消費者に直接送付することは原則禁止

・複雑なリカーライセンス


参考:日本酒輸出ハンドブック(米国編)
他にも複数の留意点があるため、以下国税庁のハンドブックをご参照ください。


次に、海外で人気の高い商品である日本茶についても見ていきましょう。

日本茶の輸出実績は世界的に見ても拡大傾向にありますが、特にアメリカでは輸出量・輸出額ともにトップクラスです。

日本茶輸出促進協議会が公開している「2024年2月期日本茶輸出状況」を見てみると、「全体の輸出額は26億4,000万円(前年同月比75.0%増)」「全体の輸出量は655.9t(前年同月比44.3%増)」で、アメリカの場合は「前年同月比62.8%増加の輸出額12億2,000万円」を記録しています。


なお、日本茶の輸出に際しては「各国における残留農薬の基準値」「関税率」「植物検疫検査」について把握しておくことが必要です。


参考:2024年2月期日本茶輸出状況|日本茶輸出促進協議会

菓子

日本の菓子類も海外では人気がある商品の一つです。

パッケージデザインの独特さやコンパクトさ、美味しさや賞味期限の長さなど、複数の魅力を有しているからです。

海外の中でも、中国を中心にアジア太平洋地域での人気が高いとされています。

越境ECを行ううえで、菓子類は安価なため大量に仕入れやすく、モノによってはキャラクターグッズ付きのお菓子など、コレクターが高額で購入する可能性がある商品もあります。

そのため、国境を越えた電子商取引の対象商品としては非常に有望でしょう。

越境ECでは輸入禁止品や許可が必要な商品

どのような製品でも輸出できるわけではありません。

以下のような「航空危険物」および「万国共通の禁制品」は輸出できない、または輸出に際して許可が必要です。


・爆発物、危険物

・麻薬および向精神剤

・生きた動物

・わいせつ、または不道徳な物品

・貴重品(硬貨、銀行券、紙幣、持参人払有価証券、旅行小切手など)

・長さ1.5m、長さ+横周3m、重量30kgを超える物品

・内容品が20万円を超えるもの(国際郵便物の通関手続き必須)

・リチウム電池(製品によって条件が異なる)

・国ごとに異なる食品の輸入規制

・国ごとに異なる中古の衣料品に関する輸入規制

・空気清浄機、浄水器、カートリッジ

・香水、マニキュア

・カップラーメン

・国ごとに異なる酒の輸入規制

・国ごとに異なる米の輸入規制


参考:航空:航空機への危険物の持込みについて - 国土交通省 万国郵便条約に基づく禁制品


なお、アメリカに限定すると、次項で解説するFDAという機関の承認がなければ輸出できない製品が複数存在します。

国際スピード郵便(EMS)では輸出できない製品も多数あるため、確実に把握しておきましょう。


※参考:禁制品



注意しておきたいFDAとADA

アメリカへの越境ECを行うにあたって、FDAという機関とADAという法律については必ず認識しておかなければなりません。

この2つについて、簡単に解説します。

FDAとは

「Food and Drug Administration:アメリカ食品医薬品局」の略称です。

FDAは、1862年にアメリカ農務省から「農産物の安全性監視と、そのための化学分析」という責任を引き継ぎ、現在までその役割を担っています。

主に人間と動物用医薬品・生物由来の製品・医療機器の安全性と有効性、およびセキュリティの確保による公衆衛生の保護、そしてアメリカにおける食料供給・化粧品・放射線を放つ製品の安全性確保を使命とする機関です。


参考:U.S. Food and Drug Administration

FDA認証の対象商品

FDAでは、「食品・飲料」「化粧品」「医薬品」「医療機器」「放射線機器」など複数の品目について、その販売や流通に関して許可と取り締まりを行っています。

この許可を得られない限り、対象品目を日本からアメリカへ販売することはできません。

FDA認証の取得方法

対象品目ごとに、FDA認証の取得方法は異なります。

本記事で紹介した日本酒・茶・菓子については飲食物に該当するため、「食品・飲料」における認証取得方法を見てみましょう。

まず、飲食物の製造・加工・包装・保管を行う全ての施設について、FDAに登録します。また、アメリカにおける代理人指定も必要です。

商品ラベルを英語化する必要もあり、ラベルについては「食品表示必要条件」「食品名」「正味内容量表記」「成分リスト」「強調表記」という5つの項目を記載します。飲食物そのものだけではなく、飲食物に接触する包装品や調理器具、食品添加物や着色料についても規制があるため、その点についても把握しておきましょう。

そして、食品安全計画の策定と事前通知を行い申請、という流れとなります。

ADAとは

1990年7月26日にアメリカで制定された法律です。

「Americans with Disabilities of Act 1990:障がい者差別禁止法」の略称で、内容は以下の通りとなります。


・雇用における有資格障がい者に対する差別の禁止と、必要な配慮の義務付け

・州や交通機関を含む公共サービスにおける差別の禁止とアクセスの保障

・民間事業者によって運営されている、不特定多数の人々が集まる場における差別の禁止とアクセスの保障・聴覚障がい者の用いる電話に対する電話会社によるリレーサービスの義務付け

越境ECサイトはADAに対応させる必要がある

越境ECにおいてなぜADAが重要かというと、ECサイトが「公共サービス」に該当するからです。

障がい者の方がECサイトの利用にあたって不便を被り、ADAに違反しているという訴訟を起こしたという事例もあるため、障がいがある方でも利用できるようECサイトを構築する必要があります。


以前にも弊社ではADAに関して詳しくご紹介しておりますので、合わせてご確認ください!

【ADAに関する記事はこちら】

日本でも始まったウェブアクセシビリティと ADA (Americans with Disability Act) との違い

越境ECならShopify

ここまで、主にアメリカ向けの越境ECに関するポイントや留意点を紹介してきましたが、独力で越境ECを始めるのは難しそう、と感じた方は少なくないかもしれません。

しかし、越境ECの運営に役立つ複数の機能を持つShopifyを利用すれば、ハードルが大きく下がります。


・50の言語と130カ国以上の通貨に対応している多言語および多通貨機能

・PayPalや世界各国100種類以上の決済方法に対応

・海外発送の簡易化と50カ国語以上のメール通知テンプレート


他にも、高いデザイン性や販売チャネルのマルチ化など、Shopifyには越境ECを運営するのに適した機能が備わっているため、初心者の方でも安心してスタート可能です。


弊社は越境ECに関する記事も投稿しております。

合わせてご確認ください!

【越境ECに関する記事はこちら】

海外通販利用時の関税はどうなっている?関税の請求・支払い・徴収について解説!【Shopify】

アメリカ向け越境ECで気をつけておくべきポイント 関税、ADA、CCPA

越境ECの際に重要な物流(ロジ)選択を解説!【FedEx・EMS・Amazon FBA】

まとめ

アメリカをはじめとする海外に向けた電子商取引、越境ECを始める際には、「どのような製品であれば需要があるのか」「各国の法規制はどのようになっているのか」という点にフォーカスしましょう。

そして、無理をして独力で準備を行うのではなく、Shopifyという便利なサービスを活用して、事業が成功するように画策することが重要です。まずはお気軽に、Shopifyを活用してサブスクビジネスをスタートするのにおすすめのGo Subについてお問い合わせください。


【GoSubについて】

GoSubについて詳しく知りたい方はこちら

GoSubのヘルプページはこちら

GoSubのインストールはこちら

GO RIDE

GO RIDEはShopify 公認「Shopify Plus Partner」として、 横浜とLAの2拠点でEC事業を支援するデジタル・クリエイティブハウスです。

この著者の記事一覧

EC構築から広告運用までワンストップで提供。

資料請求 お問い合わせ