Shopify越境EC構築における「第一言語(プライマリー言語)」の設定指針と注意点
1. はじめに
Shopifyで越境ECサイトを構築する際、初期設定で直面するのが「第一言語(プライマリー言語)を何にするか」という選択です。
「まずは日本語で作って、後から英語を追加すればいい」と安易に決めてしまうと、後々のSEO戦略や通知メールのカスタマイズ、アプリ連携において予期せぬ制約が生じることがあります。
本記事では、ディレクターの視点から、その判断基準を整理します。
2. 「第一言語」がサイトに与える3つの影響
Shopifyにおける第一言語とは、単なる「表示上のメイン言語」ではなく、システムの根幹に関わる設定です。
1、URL構造の決定
第一言語はルートドメイン(example.com/)に割り当てられ、追加言語はサブディレクトリ(example.com/en/など)になります。
2、通知メールのベース言語
注文完了や出荷完了などの自動送信メールは、第一言語のテンプレートがベースとなります。
3、外部連携・アプリの挙動
一部の海外製アプリやSNS連携において、第一言語が英語であることを前提とした仕様になっている場合があります。
3. 日本語 vs 英語:どちらを第一言語にすべきか
構築のヒアリング時に用いる判断基準を、以下の比較表にまとめました。
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項目 |
第一言語:日本語 |
第一言語:英語 |
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主なターゲット |
国内ユーザーがメイン |
海外ユーザーがメイン |
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SEOの優先度 |
日本国内の検索流入を重視 |
グローバル(https://www.google.com/search?q=Google.com等)を重視 |
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運用・管理 |
日本語の管理画面・入力に慣れている |
英語でのデータ管理に抵抗がない |
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URL構造 |
example.com/ (日本語) |
example.com/ (英語) |
4. 【技術的注意点】通知メールのカスタマイズで起きる「言語の壁」
一度構築した後に第一言語を変更するのは、URLの変更によるSEOへの影響や翻訳データの不整合など、大きなリスクを伴います。
特に、工数が膨らみやすいのが「通知メール(注文完了メールなど)」のカスタマイズです。
Liquidコードのベースは第一言語
Shopifyの通知メールテンプレートは、第一言語で記述されたコードが「正」となります。
特定の条件下で文言を変えるなどのロジック(if文など)を組む際、ベースが日本語だと、他言語に展開した際にプレビューが崩れたり、翻訳が反映されなかったりするケースがあります。翻訳アプリの限界
Translate & Adapt などのアプリで通知メールを翻訳できますが、メール内の特定のボタンや、動的な変数(お届け予定日など)が、第一言語の設定に引きずられて翻訳しきれない事象が発生することがあります。確認工数の増加
第一言語が日本語の場合、テストメールも日本語で届くのが基本です。
他言語のメールが正しく表示されるかを確認するには、実際にテスト注文を作成し、顧客の言語設定を切り替えて送信テストを繰り返す必要があり、確認工数が大幅に増加します。
「まずは日本語で」と決める前に、「どこまで通知メールを作り込むか」という運用レベルまで踏まえて、慎重に第一言語を決める必要があります。
5. まとめ
「第一言語を何にするか」は、そのECサイトが「誰を最優先の顧客とするか」というビジネス戦略そのものです。
構築開始後に「実は英語をメインにしたかった」とならないよう、要件定義の段階で、将来の海外売上比率やSEOの展望をクライアントと十分に擦り合わせることが、ディレクターの重要な役割となります。