事業再構築補助金を使ったECサイト活用方法について解説
事業再構築補助金とは?
はじめに2021年から始まった事業再構築補助金についてご説明致します。
新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売り上げの回復が期待しづらい中、経済社会の変化に対応するために中小企業等の事業再構築を支援することで、日本経済の構造転換を促すことが重要です。
そのため、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、又は事業再編という思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援するものになります。
申し込み枠は全部で8つあります。
(第9回の申込枠は全部で6つでしたが、第10回は8つに枠が増えました)
・成長枠
・グリーン成長枠
・卒業促進枠
・大規模賃金引上促進枠
・産業構造転換枠
・最低賃金枠
・物価高騰対策、回復再生応援枠
・サプライチェーン強靭化枠
それぞれの枠で申し込み要件が異なりますが、全枠共通必須要件が以下の通りあります。
①事業計画について認定経営革新等支援機関の確認を受けること
事業者自身で事業再構築指針に沿った事業計画を作成し、認定経営革新等支援機関(弁護士、税理士、金融機関など)の確認を受けること。
以下のサイトから支援機関を検索することができます。
★中小企業庁 認定経営革新等支援機関検索システム
https://ninteishien.my.site.com/NSK_CertificationArea
②付加価値額を向上させること
補助事業終了後3〜5年で付加価値がくの年率平均3.0〜5.0%(申請枠により異なる)以上増加、又は従業員一人当たり付加価値がくの年率平3.0〜5.0%(申請枠により異なる)以上増加させることが必要になります。
①の認定経営革新等支援機関の確認に時間を要することがありますので、時間に余裕を持って対応することをおすすめします。
すでに第10回の公募は締め切ってしまい、次の案内がまだ未定ですが、申請をご検討の方はぜひ参考までに公式サイトで第10回の公募要領などご確認ください。
★事業再構築補助金公式サイト
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/
ECサイト構築は可能なのか?
事業再構築補助金を使ってECサイトを立ち上げることは可能ですが、注意すべきことがあります。
①ECサイト構築はあくまでも手段であり、目的ではないということ
補助金の申請には必ず事業計画書の提出が必要になります。
単に「ECサイト構築します!」というい事業計画では採択されない可能性が高いです。
ECサイトを使ってどう集客するのか、売上アップに繋げるのか、自社の強みをどう活かすのかを盛り込んだ計画を策定しないといけません。
また、なぜ補助金でECサイトを構築する必要があるのかをわかりやすく説明することが重要です。
②ECサイト構築費用の全額が支払われるわけではありません
申請した補助枠によって1/2 ~ 2/3 をかけた金額が補助金として支払われます。
③ECサイトを作る事業者が補助される項目
・システム構築費用
・クラウドサービス利用費
・外注費
・専門家経費
では、実際に事業再構築補助金で、ECサイト構築を前提に採択された事例を見ていきましょう。
<事例1>
B to B 向け食品卸販売から、ECサイトでB to Cに販路拡大(業種転換)
1つ目は販売する顧客を事業者向けだけでなく、個人向けに販路拡大するあたり、ECサイト構築を掲げた事業計画です。
この事業者はこれまで食品を事業者向けに卸販売していましたが、発注の増減で安定した収益が見込めなくなったため、新たに個人向けのECサイトを立ち上げ、個人消費者向けの販売サイトを立ち上げ、販路拡大する計画を立案しました。
個人向けのECサイト販売の経験はありませんでしたが、既に運営しているB to Bの事業者向けのECサイト運営の経験がある点、食品の卸売として長い経験がある点が評価され、採択されました。
<事例2>
カフェ運営からECサイトケーキ販売(新分野展開)
2つ目にご紹介するのは、これまで飲食店として店舗でカフェ運営をしていた事業者が、消費者からのアクセスや注文を受け付けられるECサイト構築を志した事業計画です。
カフェを休業して開店しての繰り返しの中で売上が安定しない点を「来店しない形での顧客への価値提供」と同時に「収益を上げられる」事業として模索しました。
その結果、カフェ事業とあわせて行なっていた「イベント事業」の長所をあわせて、イベント企画とカフェらしさを組み合わせた「企画性があり、カフェで評判が良かったケーキを販売するECサイト構築」という事業計画を立案し、採択されました。
<事例3>
寿司店経営を多角化経営+ECサイトで商品の一部を販売(事業転換)
3つ目のECサイト構築の採択事例は、長年すし店を経営してきた事業者の事業計画です。
この事業者はすし店の経営を複数行っていましたが、収益性や将来性を考え、そのうちの一部の店舗を別種の店にすることを検討しました。
さらに、日持ちする商品も同時に開発し、ギフト販売・店舗予約が行えるECサイト構築を前提に事業計画を立案しました。
なお、すし店のみの経営から、すし以外の種類も扱う飲食店の多角化経営となると、審査で評価につながりにくいように見受けられますが、すし以外を扱う店舗で、すし店でも使用する高級食材を使い、付加価値アップと原材料の回転率のアップを同時に図った点、複数のすし店を長く経営してきた経歴が高く評価され、採択結果には影響しませんでした。
まとめ
いかがでしたか?
補助金制度を使って新たな事業を始めるヒントになれれば幸いです。
ECサイト構築や保守などでお困りの方はぜひ弊社へ一度ご相談ください。
また、弊社はIT導入補助金の支援事業者です。お気軽にご相談ください!